図形のセンスとは、
頭の中で平面図や立体図形が描け、回転させたり拡大したりと自在に扱える能力や、なぜか必要な補助線なり補助図形が思い浮かぶ能力のことをさします。
空間認識力とも言われているようです。
これは数のセンスと違い、ある成長段階までで身につけないと、あとからではなかなか十分発達させることが難しいセンスであります。
日本の成人がなかなか英語のRとLの違いが聞き取れなかったり、方向感覚の鋭くない方が道に迷いやすかったりすることと同じ性質のセンスと推定しております。
中学受験に際しては、図形問題は必ず出題されます。
これは避けて通れませんので、少しでも年齢が低いうちから感覚を磨く訓練を積む必要があると考えております。
ちなみに、大学受験で出題される数学問題にも図形問題が頻出します。そこでは三角関数などの高校生としての知識も必要となりますが、解法の核心部分を発見する力のレベルは、小学校時代にどこまで図形センスを磨くことができたか、に大きく比例するものと考えられます。
そのため、大学合格実績が栄枯盛衰を握る進学校としては、中学受験の段階で、図形のセンスのある子を集めたい、という事情があるものと推定しております。
ただし、訓練する過程で注意することがあります。
それは、量をこなそうとするあまり、「十分考え尽くす」時間を奪ってしまうことです。
初見の図形問題に取り組む場合、十分考え尽くすことで図形のセンスを鍛えるだけでなく、発想力も鍛えることになり、一石二鳥の良い訓練となります。
逆に、十分に「想を練る」時間をかけないで解法ばかりを詰め込もうとすると、発想力が育たず初見の問題には歯が立たない図形センスしか身につけられないこととなります。
豊かな図形センスは、適切なタイミングでの適切なトレーニングによって養われると考えております。