算数において、試行錯誤力とは、2つの習性を指します。
1つは、
「とにかく手を動かす」
「まず試す」
という、とにかく行動する習性です。
「手を動かしながら考えること」は大切な初動動作で、じっと固まっているよりも手を動かした方が、解答のポイントが掴みやすいことは体験的に判っております。現代における脳のメカニズムの研究は未だ発展途上ですが、手の動きが発想力を引き出す刺激を脳内で生むのかもしれません。
もう1つは、間違い(錯誤)を恐れず試してみる習性です。
一見してわからない問題にチャレンジする時、解法がわかるまで頭の中で考えることも大事ですが、良く考えさせる問題ほど、それでは解答に到達できないようになっています。
そんな時、取りあえず線を引いてみたり、極端な数を代入して規則性を探したりする行動が、その次の一手を見えるように導いてくれ、解答に至ることも非常に多いのです。
この試行錯誤する力は、習性ですから、早い段階から習慣として身に付けてしまえば良いだけで、これも天才である必要は全くありません。
とにかく手を動かさせて、錯誤を恐れずドンドン試させるような促しがポイントです。普段から、算数の難問にあたる時、答えに至らないまでも「こういうことかな?」「ではこういうことかな?」と、いろいろ試す経験が、力を養うポイントだと考えられます。
また、この試行錯誤する力は、「姿勢」とも強い関連があります。算数問題を楽しんでいるか、嫌っているか、ワクワクして解いているか、間違えることを恐れて解いているか、心の状態と強く関連していると考えられます。
「間違えると怒られる」、「テストの点が悪いと怒られる」、怒られるのは子供にとっては嫌なものです。これらを繰り返すと、「間違うとこの後怒られる」という予測が条件反射となり間違うことに必要以上の恐怖心を抱く可能性があります。
算数問題に対して、「後ろ向き」「防衛的」な姿勢から「前向き」「攻撃的」な姿勢に変化させるためにも、間違いという結果に対する罰を与えない方が良いと思われます。