計算力とは2つの力です。
1つは文字通り、正確に速く計算をする力です。
もう1つは、計算しない力です。
算数や数学の力がある人なら大抵納得する話です。
どういうことかというと、
計算ミスをしないためには計算をしなければいい、ということです。
計算ミスを減らすためには計算回数を減らせばいい、ということです。
「自動車の運転が上手な旦那様が青色免許で、運転が苦手な奥様がゴールド免許。奥様はそもそも運転しないから。」というパラドックスと一緒ですね。
計算は算数の力の一部であり基礎であります。
確かに、正確な演算能力がなければどんなに素晴らしい解法を思いついても答えにたどり着きません。
しかし、テストには時間的制約があり、答えの正誤で評価されますから、「最小限の計算回数で済ます力」も、同じくらい重要な算数力の要素です。
ご面倒ですが、ちょっとだけ具体的な話におつきあいください。
35×99=? という計算をするとします。
暗算が得意な人はバリバリ計算するでしょう。
暗算が苦手な人は紙に筆算を書いて計算するでしょう。
でも計算が嫌いで暗算が苦手なのに算数力がある人は、
きっと次のように計算を回避します。
35×99
=35×(100-1)
=35×100-35
=3500-35
=3465
これなら最後の「35を引く」という部分だけ計算すれば、苦手な人でも計算できますね。
これは、計算力を定着させるために量をこなす必要がある学校では、あまり教えてくれないかもしれません。
計算力がある人は「知的肉体労働」とも言える計算が苦にならないため、あまりこういう近道を考えないかもしれません。
真面目な性格の人はちゃんと計算しないのはズルいと捉え、悪いことをしているように感じてしまうかもしれません。
でも、計算が嫌いで面倒くさがりで発想力のあるお子様は、思いついてやってしまいます。
普通に解いていては時間が足りなくなるようなテストで100点をとるような子はやってしまいます。
では、やらない子はどうしたら良いでしょうか?
「楽な解法を探すこと」を習慣にすればいいだけですね。
「 算数力」とは「思考の総合力」です。
「読解力、表現力、計算力、発想力、論理力、数のセンス、図形のセンス、最小限度の知識…」このような要素の総合力です。
算数力にとって、計算力は必須の基礎ですが、決してすべてではありません。
どこまでも正確に。
ある程度の速さをもって。
これらがクリアできたら、強烈なまでの暗算能力などを磨く必要はありません。