次の計算をしてください。(実際の入試レベルの難易度です。)
1 1 1 1 1
―― + ―― + ―― + ―― + ――
30 42 56 72 90
いかがでしょうか?
難しくはありません。
愚直に計算すれば答えは出ます。
しかし、面倒で時間がかかります。また演算処理数が膨大ですから、途中で計算ミスを発生させてしまう確率も高まります。
実は、この問題は、本当に典型的な「計算のくふう」の問題なのです。
知っている方は、即座に次の計算をはじめます。
1 1 1 1 1
―― + ―― + ―― + ―― + ――
30 42 56 72 90
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
= ― ― ― + ― ― ― + ― ― ― + ― ― ― + ― ― ――
5 6 6 7 7 8 8 9 9 10
1 1
= ― ― ――
5 10
1
= ――
10
いかがでしょうか?
知っている人はこれで解きます。
何を知っているかというと、
1 1 1 1
―― = ――― = ― ― ―
12 3 × 4 3 4
という分数計算の性質を知っている、ということでした。
ちなみに私自身、自らの計算時間を計測しました。
愚直に左から順に計算して行くと、2分38秒かかりました。
くふうの知恵を使って計算すると、33秒かかりました。
この計算だけで、およそ2分の節約ができました。
計算のくふうが使える問題が5つ出題されていたら、10分も時間が節約できます。10分の差は、時間や難易度がぎりぎりで設定されている入試においては何点の差になるかわかりません。
受験本番において、制限時間内に問題を手際良く処理することは、本当に重要な技術です。
良く使う計算結果や解法をあらかじめ準備(暗記)しておくと、試験当日の答案作成にかかる時間が大幅に短縮でき、それだけ多くの問題を解答することが可能になることも本当に多いものです。
「これは処理能力であって算数の真の力ではない。」というご意見もあります。
その通りです。
しかし、実際の入試問題において、答案用紙には答えのみ記入する学校も多いので、算数力の水準が同じならば、処理能力の差がダイレクトに得点の差になるのが現実なのです。
私が処理能力を高めてほしいのは、
せっかく算数力が高いのに、処理能力が低いだけでテストの点が伸びないお子様がいることを残念に思うからです。
このような「計算のくふう」の知恵はたくさんありますが、代表的なものを当ウェブサイトで随時発信して行きます。